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“甘い人生”turbo的まとめ [イ・ビョンホン_映画]

どもです。
“甘い人生”disc_2や4で監督やスタッフがしきりと“ノワール映画だから…”と言っていました。
やっぱり“エンターテイメント”として観ている人が多いので気になっているのかもね。
だってエンタメだとしたらドラマティックさが少ないもの。
クールでドライ。そして破滅の美学。
ソヌの人生が終わりに向かって徐々に熱を帯びていきます。
監督の意図が少し解ってなるほどなと思いました。
でも映画を理解出来たか?と聞かれるとほど遠いな〜。

個人的にはね、大橋の上でで絡んできた若者を逆にこてんぱんにやっつけるシーンが好きなんです。
クールだったソヌが自分の気持ちを持て余しているのがすごく解る。ストレスを若者にぶつけているんですよ。
ここからは、もちろんネタバレで…

最初は、善意とほんのちょっとの“カッコつけ”をからヒスを見逃したソヌだったけど、人を愛するという気持ちに気がついてしまった。
彼女を愛してしまったのではなくて、人を愛するという行為とその甘美さを知ってしまったんですね。

そしてカン社長は、裏切りを許せない。
彼女を愛してしまったとしても、そうでないとしても、命令を守れない者にはそれなりの制裁を加えなくては行けないというのが彼の信念のようです。
だから、本当はそんなことしたくなかったのかもしれない。でも、自分の愛人のことを好きになってしまったのならば、なおさら嫉妬心が加わってしまって、やらなくてはならないという気持ちの方が勝ってしまった。社長にとっては、裏切りと横恋慕のダブルパンチなのですよ。

ソヌは今まで社長に忠実に尽くして来た。そして今回のヒスのことは、結果的には裏切りになってしまったけど、悪い事をしたとは思っていない。
だから、自分の今置かれている状況を“なぜ、こんなことに”

ソヌとカン社長は、最後までお互いの問いに答えませんでした。

“なぜ、僕にあんなことを?” “どうして気持ちが揺れたんだ?”

でも、多分お互いの問いを通して自分の答えと相手の答えに気づいてしまった。
だから…“もう戻れない”

ヒスは社長の縛りから解けて自由になりました。
ソヌは“気になる人”がいるってなんてこんなに甘くてざわざわするんだろう(風ではなくて我が心)、という気持ちを知った一瞬に人生が転落して、その先には身の破滅しか残されていなかった。

“その夢は叶わないからです”そして“むごすぎる…”

ラスト
ラウンジのガラス越しにシャドーボクシングをする自分を思い出します。
何も知らなかった頃の自分さえも甘い一瞬に感じてしまった。
そして自分の人生のラストは“闖入者”の一発でend。
とても切ないです。

ジウン流ノワール
La Dolce Vita

fin


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コメント 9

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うーん・・と考えさせられました。
3人のコメントを聞いていて私も映画の印象が変わりました。
記者会見などでは、ソヌは自分の気持ちには気づかぬまま・・・と言われていたと記憶してるんですが、コメントでは善意でした行為から好きという気持ちが
芽生えた・・・というように解説してたんです。ということは、好きという淡い気持ちを持って電話してたんですよね。
最後に愛する人の声を聞きたい。とも解説されてましたよね。
だから最後に「むごすぎる」という言葉がでたんですね。
ちょっとわかった気がします
何度も観るたびに味わいがでてきそうです。
by (2005-11-06 10:20) 

rhu

私は映画館で一度見ただけなんですけど、お気に入りのシーンがあります。
ソヌがヒスに惹かれたことを感じさせるシーン。
ヒスがチェロの練習をしているところを見ているところです。
あのシーン、きわめて珍しいと思うんですけど、ソヌを後ろ姿でとらえてるんです。
思わずヒスに見入ってしまったソヌの気持ちが、無防備になってる後ろ姿から
感じ取れたのが印象的でした。(あくまでも私の解釈ですけど)
コメンタリーでそのシーンについて、何か言ってたのかなぁと気になります。
by rhu (2005-11-06 11:53) 

実はまだDVDを見れていなんですけど、橋の上のシーン、自分も好きです。
なんか、ソヌの気持ちをうまく表現しているし、スカッとするんですよね。
そして、制裁を加えられたところから、大立ち回りで逃げるシーンも好きです。あそこは、映画館で見ながら「逃げ切ってくれ」と願ってましたからね。

DVDを見たら、もっと好きなシーンが出てくると思います。映像的にも大好きな映画ですから。
by (2005-11-06 20:52) 

turbo

★kurumiさん、コメント&niceどもです。
やっぱり好きな気持ちはあったようですね。
でも叶わなかった。
監督はソヌとヒスとの距離にもこだわっていたようですね。
コメントを観てから本編を見ると、感じ方がかわってきますね。

★るぅさん。どもです。
>ヒスがチェロの練習をしているところを見ているところです。
そうですね。
確かに後ろ姿は珍しいですね。
turbo的には、後ろ姿を撮ることによって、木を見上げている姿に近い姿を演出しているのかな?と思ってます(深読みかなあ…)
実際にソヌが木を見上げるシーンはラスト1回だけなのですが。
監督は…最初のシーンを強調していると話していましたよ。

★ケンタッキーさん、どもです。
>そして、制裁を加えられたところから、大立ち回りで逃げるシーンも好きです。
あのシーンは何回観ても“ファイティーン”と叫んでしまいますね。(^_^)
by turbo (2005-11-07 23:00) 

You

こんばんわ。
破滅的という点以外全然内容に繋がりはないと思いますが、ラストの方のシーンでもだめだししてるし、この監督はフェリーニの甘い生活が大好きなんだろうなと思いました。そのDVDのセットででは何かコメントされていたのでしょうか。。
by You (2005-11-08 00:36) 

turbo

★tamaiichiさん、どもです。
完全版のdisc_に監督のインタビューがあるのですが、キム・ジウン監督は、違うジャンルの映画を撮っていても常に“人生の皮肉や不条理、人生の難しさ”にこだわっているそうです。
影響を受けた映画監督はフランスのロベール・ブレッソン監督と日本の成瀬巳喜男監督だそうです。
参考になったですか?
by turbo (2005-11-08 00:58) 

You

そうなんですか。引用してるからコメントは普通するかなと思っていました。ども。
by You (2005-11-09 00:48) 

tamayuraxx

turboさん、こんにちは ^^
一連の「甘い人生」関連記事をずらりと読ませていただきました。
この作品は見ている人に色々と考えさせるタイプの映画ですよね。
わたしもまだ理解できていない部分が沢山あるのですが、
turboさんが書いていらっしゃる
> 彼女を愛してしまったのではなくて、人を愛するという行為とその甘美さを知ってしまったんですね。
には納得です。
ソヌがヒスを愛した、というには2人の関係はあまりに
希薄に感じられましたし。
愛することを知った、それだけで転落する理由に
なってしまったのが悲しいと感じました。
by tamayuraxx (2005-12-11 16:55) 

turbo

★tamayuraxxさん、関連記事を読んでいただいてどもです。
DVDをゲットしてから何度も繰り返し観て、
映画を観た頃に理解出来なかった事がちょっと見えて来たかな…というところです。
でも、まだまだかな?
本編だけではなく監督を始め製作に携わった人達のコメントを知って、なんとなく雰囲気がつかめてきた…かも…という感じです。
そんな中途半端な記事になってしまいましたが、読んでいただけど嬉しいです。

>ソヌがヒスを愛した、というには2人の関係はあまりに
希薄に感じられましたし。

そうなんですよね。
それだけで転落の人生を送ってしまったということが、ノワールなのでしょうか。
切ないストーリーです。
by turbo (2005-12-13 00:23) 

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